消えたホイットコム
JR和歌山線の妙寺駅前にあった森田組の
「ホイットコム」を尋ねに来たのは。
当時でも既に森田組はなくなっており、
かろうじて同社が保管していたこの機関車が
紀ノ川土手の草むらの中に残っていたのだった。
http://kidoushimatsuki.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_b402.html
あれから4年後の2009年9月21日、
久しぶりに関東からここにやって来たのだが、
ホイットコムは忽然と消えてなくなっていた。
場所は間違いない。
半世紀前まで機関庫だった場所には、
クレーン用と思われる
レールで造った支柱が残っていたからだ。
ホイットコムがあった場所は、
猫のねぐらに変わり果てていた。
4年前の写真を引っ張り出してみた。
枯れ草に覆われた中に確かにホイットコムがいた。
50年も放置され続け、
赤茶けて錆びついた車体の、
キャブの屋根がかろうじて見えていた。
サイズがまったく合っていない
高田機工製のラジエターに
無理やり交換されたホイットコムが、
時を越えてそこに佇んでいた。
それはある意味、奇跡に近い事であった。
だが消えたのではないと思っている。
きっとどこかで、誰かが、
錆び付いた車体にヤスリをあて、
磨いているのではないだろうか。
また再び蘇ってくれる事を
願わんばかりである。
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