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2009年2月15日 (日)

筑豊のこどもたち

筑豊本線飯塚駅のホームに降り立つと、

緑に覆われた小高い山が目に止まる。

稜線が穏やかに丸みを帯びた山で、

四国の里山を思い浮かべる様な懐かしい雰囲気だ。

だが、これが炭鉱の穴から掘り出された石で出来た

ボタ山とは、言われてみなければ分からないだろう。

操業当時は、別々の炭鉱会社の坑口から、

競ってこの場所へ石を吐き出していたそうだ。

1_2009215

手元に一冊の写真集がある。撮影者は土門拳。

急斜面のボタ山にへばり付き、

石の中に手を突っ込んで、選り落とした石炭を

拾いに来た、幼い子供の写真が載っている。

擦り切れたボロ布みたいな服をまとい、

急斜面から滑り落ちぬように、

必死にへばりついている。

その幼い子供の顔は無表情で、

今日生きていくのが精一杯である事を

物語っていた。

2_2009215

あの写真から50年以上経ったボタ山に登ってみた。

時計を見ると既に夕方の5時半を回っている。

仕事を終わらせた後とは言え、

何でこんな時間に登ったのだろうか。

写した写真よりはるかにあたりは薄暗く、

日没まであと僅かだ。

3_2009215

捨てられて廃墟になった神社の横を通り過ぎ、

坑口まで行って見る。

4_2009215

途中振り返って見ると、陥没して出来た巨大な穴に、

雨水が溜まって池と化した場所が見えた。

5_2009215

巻き上げ機だろうか。竪穴の出口に残っていた。

覗き込むと中は真っ暗だ。

あたりは薄暗くなってきていて、ぞっとする。

6_209215

登り詰めると、藪の向こうにコンクリートで固められた

坑口が、無言で待っていた。

50年後の日本は豊かになったが、

あの貧しい子供たちも、

今は孫でも抱いて豊かに暮らしているのだろう。

まあ生き抜いていればの話だが。

夕暮れのボタ山を、そんな事を考えながら後にした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日は直方へ行ってみた。

以前友人のS氏から親切に教えてもらったKATOに

会いに行くためだ。

7_2009215

だが、KATOのいた場所は、

軽トラックや物置もろとも撤去されていて、

ただの草むらに帰っていた。

8_2009215

何度も違う場所ではないかと思ったが、

以前の写真と比較して、

やはりここに間違いなかったので、

呆然としてしまった。

9_2009215

気を取り直して、直方石炭記念館に足を向ける。

10_2009215

筑豊本線横の小高い岡の上に、

巨大なパンタグラフを載せたELが保存されている。

11_2009215

狭い軌道とは対照的に、ノッポのELは、

風が吹けば倒れてしまいそうであった。

12_2009215

筑豊の炭鉱は、

既に歴史の彼方へ消え去ってしまった。

2009年訪問

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コメント

今朝の新聞の広告で土門拳の本が出ていて欲しかったのです。
アサヒグラフです。
ちょうどタイムリーに貴殿の「筑豊の子供たち」の日記に驚いてます。
飯塚へ行かれたんですね。
詫びしい雰囲気の写真にグッときます。
何もないのに、むかしの喧騒が聞こえてきそうな写真たちです。

今月2月24日から日本橋三越で、写真展「土門拳の昭和」が始まりますね。3月8日までだそうです。当時の筑豊の写真も展示されるのでしょうか。炭鉱閉山による悲惨な生活を余儀なくされたこども達も、今は幸せに暮らしている事を願っています。

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